後期研修プログラム(整形外科)
整形外科「大原綜合病院整形外科専門研修プログラム」
整形外科専門研修は、卒後3年目からの
専門研修(後期研修)4年間で構成されます
大原綜合病院整形外科専門研修プログラムの
目標と特徴
大原綜合病院整形外科専門研修プログラムは2025年(令和7年)度よりスタートし、福島県立医科大学と連携しながら、「急性期から回復期、さらには介護・福祉までの幅広い知識と視野を持った地域医療に貢献できる整形外科医」を到達目標としています。
整形外科学は、運動器の機能と形態の維持・再建をめざす臨床医学であり、脊椎、上肢、下肢などの広範な診療領域を扱います。高齢化型社会をむかえた我国においては、整形外科への期待はますます大きくなっています。その中でも福島県は、高齢化人口比率の高い地域であり、地域医療で整形外科の果たす役割が非常に重要となります。このプログラムでは、高齢化社会に即した医療を中心に研修を行い、他科と連携したチーム医療・地域医療、特に包括的な医療を担えるような整形外科医師を目指します。
研修施設の中心的役割を担う大原綜合病院は、福島市の市街地中心部に位置し、1892年(明治25年)に開院して以来地域医療の充実に貢献し、福島市のみならず人口約47万人の県北地域を診療圏とし、地域医療支援病院・開放型病院として数多くの救急・外傷患者と紹介患者を受け入れていることから、一般的な運動器疾患から稀な疾患まで幅広く経験することができます。
また臨床研修病院として初期研修医の卒後臨床教育に取り組み、専門医研修施設としても様々な診療科の専攻医を多数受け入れてきた実績があります。
救急医療としては、二次救急病院ながらER型の総合救急センターと外傷センターを備え、救急担当の総合診療科医師と整形外科医師が連携して外傷患者を診療するシステムをとっています。また病院屋上にはヘリポートも備え、ドクターヘリの受け入れや広域災害医療へも対応しています。
大原綜合病院は急性期病院として整形外科は手術的治療を中心とした体制をとり、専門研修では必須の外傷全般の研修を受けられます。脊椎疾患については県内トップレベルの手術症例があり、精緻な病態把握を基に神経ブロックなどの保存療法から先進的手術治療まで学ぶことができます。また、慢性疼痛患者に対する薬物療法や運動療法などの疼痛マネジメントについても学ぶことができます。さらに、関節外科、手外科、足外科などサブスペシャリティに対する専門性の高い医療も提供しています。
同一法人内の大原医療センターは、回復期の専門病院として精神科を併設した総合回復期医療を提供しています。大原綜合病院と大原医療センターが法人内医療連携システムを構築して急性期から回復期まで、手術からリハビリテーション、介護・福祉の分野までの運動器疾患の幅広い知識と技術を修得できるのが特徴です。
福島県立医科大学では、福島県内唯一の医科大学として整形外科専門領域(脊椎、骨軟部腫瘍、肩関節、スポーツ、手外科・再建、麻痺・末梢神経、股関節、膝関節、足の外科、リウマチ、小児整形)の診療と研究を行っています。福島県立医科大学における研修では、それぞれの診療・研究グループで研修することにより、専門性の高い研修を受けることができるのと同時に、臨床研究の指導を受けることもできます。
一般病院では診療が難しい小児運動器疾患については、臨床研修協力施設の福島県総合療育センターで研修を受けることができます。
その他、福島県内外の多くの臨床研修病院と連携施設群を形成し、それらの施設で研修することにより、プライマリケアから最先端の臨床・研究まで偏りなく学ぶことができます。
専攻医の皆様に素晴らしい研修環境を提供し、個々の能力を最大限に引き出す研修を目指します。
また、福島県地域枠として地域医療に貢献しようという志をもった専攻医の皆様にも、医師少数地域での地域医療研修義務と同時に多くの専門的な研修と臨床研究の環境を提示できるプログラムとして環境を整えています。
■詳細は 冊子「整形外科専門研修プログラム」〔PDF〕 をご覧ください

研修計画
整形外科の研修で経験すべき疾患・病態は、骨、軟骨、筋、靱帯、神経などの運動器官を形成するすべての組織の疾病・外傷・加齢変性です。また新生児、小児、学童から成人、高齢者まで全ての年齢層が対象となり、その内容は多様です。この多様な疾患に対する専門技能を研修するために、整形外科専門研修は1カ月の研修を1単位とする単位制をとり、全カリキュラムを脊椎、上肢・手、下肢、外傷、リウマチ、リハビリテーション、スポーツ、地域医療、小児、腫瘍の10の研修領域に分割し、専攻医が基幹病院および連携病院をローテーションすることで、それぞれの領域で定められた修得単位数以上を修得し、4年間で45単位を修得する修練プロセスで研修します。
臨床現場での学習
職務を通じた学習(On-the-job training (OJT))を基盤とし、診療経験から生じる疑問に対してEBMの方法論に則り、文献等を通じた知識の収集と批判的吟味を行うプロセスと、総合診療の様々な理論やモデルを踏まえながら経験そのものを省察して能力向上を図るプロセスを両輪とします。その際、学習履歴の記録と自己省察の記録を経験省察研修録(ポートフォリオ:経験と省察のプロセスをファイリングした研修記録)作成という形で全研修課程において実施します。場に応じた教育方略は下記の通りです。
①② 専門知識・技能の習得計画
本研修プログラムでは、専門知識および専門技能を「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って研修し、習得状況を6ヵ月毎に評価します(自己評価および指導医評価)。専門研修プログラム管理委員会による専攻医面接を年1 回行い、評価したデータをまとめた評価表を参照し、知識・技能習得に関する目標設定・取得単位調整・指導を行います。
専攻医の過半数が獲得できていない知識・技能があれば、これを獲得するためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が開催します。
③ 経験目標 (経験すべき疾患・病態、診察・検査等、手術処置等)
経験すべき疾患・病態、診察・検査等、手術処置等は、「整形外科専門研修カリキュラム」の症例数以上を大原綜合病院及び連携施設で偏りがないように経験することを目標とします。
経験の不足している分野については、その後の研修施設において経験可能なように配慮します。
④ プログラム全体と各施設によるカンファレンス
各研修施設の研修委員会の計画の下、症例検討・抄読会はすべての施設で行います。専攻医の知識・技能習得のためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が企画・開催します。
⑤ リサーチマインドの養成計画
大原綜合病院や福島県立医科大学整形外科が主催する講演会に参加することにより、他大学整形外科教授などからの多領域にわたる最新知識の講義を受けることができます。また、福島県立医科大学が主催する臨床研究デザイン塾に参加(年1回)することにより、臨床研究に対する考え方を習得することができます。連携する福島県立医科大学整形外科での研修においては、希望により研究のプロジェクトに参加しリサーチマインドを養うことを目標とします。
⑥ 学術活動に関する具体的目標とその指導体制 (専攻医1人あたりの学会発表、論文等)
専攻医が学会発表年1回以上、また論文執筆を年1本以上行えるように指導します。専門研修プログラム管理委員会は全専攻医の学会発表数および論文執筆数を年1回集計し、面接時に指導・助言します。
⑦ コアコンピテンシーの研修計画(医療倫理、医療安全、院内感染対策等)
整形外科専門医としての臨床能力(コンピテンシー)には、専門的知識・技能だけでなく、医師としての基本的診療能力(コアコンピテンシー)が重要であることから、どの領域から研修を開始しても基本的診療能力(コアコンピテンシー)を身につけさせることを重視しながら指導し、さらに専攻医評価表を用いてフィードバックをすることによって基本的診療能力(コアコンピテンシー)を早期に獲得させます。
大原綜合病院および各研修施設の医療倫理・医療安全講習会に参加し、その参加状況を年1回専門研修プログラム管理委員会に報告します。
⑧ 地域医療に関する研修計画
整形外科専門医制度は、地域の整形外科医療を守ることを念頭に置いています。本プログラムの研修施設群の中核は、福島県医師少数地域に立地しており、一般整形外科診療としての外来診療、救急医療、そして入院医療に従事します。
また周辺医療機関との病病連携、病診連携、施設との後方連携などを経験・習得します。
⑨ サブスペシャルティ領域との連続性について
整形外科専門医のサブスペシャルティ領域として、日本脊椎脊髄病学会専門医、日本リウマチ医学会専門医、日本手外科学会専門医があります。本プログラムは福島県立医科大学整形外科専門研修プログラムとも連携しているために、これらサブスペシャルティ領域の研修施設、スポーツ医学や人工関節手術に多くの実績のある施設も含まれています。整形外科専門研修期間からこれらのサブスペシャルティ領域の研修を行うことができ、専攻医のサブスペシャルティ領域の専門研修や学術活動を支援します。
【大原綜合病院 週間予定の一例】
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
| 午前 |
病棟回診 |
リハビリ回診 |
病棟回診 |
手術カンファ |
病棟回診 |
| 病棟業務 | 病棟業務 | 病棟業務 | 病棟業務 | 病棟業務 | |
| 午後 |
手術 | 手術 | 手術 | 手術 | 手術 |
| 検査 |
検査 |
月曜日、水曜日、金曜日の朝に専攻医は指導医とともに回診し、入院患者の治療法(保存的治療や後療法を含む)や新入院患者の治療方針などについてベッドサイドで学ぶことができます。
火曜日の朝は担当医全員とリハビリのスタッフがともに回診しながら術後の患者状態についてカンファランスします。
木曜日の朝に手術カンファランスを行い、専攻医は担当患者をプレゼンし、指導医から具体的に手術に関する知識や技術についてアドバイスを受けることができます。木曜日の午後に病棟スタッフとともに症例カンファランスを行い、回復期病院や施設との後方連携について学ぶことができます。
【本プログラムの連携施設群】

本プログラムを構成する23の研修連携施設は、多くの研修単位を取得可能な地域中核病院と地域研修病院として地域中小病院から構成されており、地域に根差した医療研修が経験できるように配慮しています。
特に、福島県は全域が医師少数地域となっており、地域枠や福島県の奨学生の専攻医にも十分な研修機会が提供できます。また、脊椎、関節、手外科、スポーツ、小児などの専門研修も可能な特徴ある施設群を擁しており、専攻医の希望に応じて取得単位を勘案しながらローテーションする機会を提供します。
また、連携するⅠ型基幹病院である福島県立医科大学附属病院での研修において、一般病院で経験することができない高度専門医療を経験するとともにリサーチマインドを学ぶ機会を提供します。

専攻医募集要項
専攻医の募集要項は下記よりご確認ください。
お問い合わせ・お申込
下記連絡先に電話・メールにてお問い合わせ、お申し込みください。
臨床研修管理委員会(経営本部 総務部総務課)
〒960-8611 福島県福島市上町6番1号
Tel: 024-526-0338(直通) Fax: 024-526-0342
事務担当 三浦・内池
rinken “アットマーク” ohara-hp.or.jp

